「○○を○○する○の方法」との付き合い方。

「少ない努力で大きな成果」を期待しない。

社会人は忙しい。日々の仕事に追われて、少しでも休息の時間を取りたいと願っている。それと同時に、スマートに仕事をこなしたいとも思っている。出世したいとも思っているし、いいアイディアを思いつけるようになりたいとも思っている。そしてそんな僕らを、ビジネス本や雑誌、ブログ記事なんかが言葉巧みに誘惑してくる。
「仕事が3倍早くなるスピード仕事術」
「上司を味方につける7つの方法」
「ひらめき体質になる10の生活習慣」
なんてタイトルで。
僕も以前は「これはいいな、試してみよう(何か変わるかも)」なんて思っていた。もしかしたら、同じように思っている人はまだまだいるかもしれない。意識はせずとも。

「経験」は「情報」となって伝播する。あくまで「情報」。

実際のところは、そういったノウハウを流し読んだだけで都合よく変われるなんてありえない。たとえ「明日からやってみよう」と心がけたとしても、変わらないことの方が多い。なぜか。まず考えなければいけないのは、そういった仕事術やライフハックがどういったところから生まれてきたのかということ。それは著者の経験だ。彼らは、課題に直面し、自ら考え、自分にとって最も効率的なノウハウを開発し、それを情報として伝えている。
僕らは「情報」を受け取ることはできる。しかし「経験」を譲り受けることはできない。「経験」は、感情と五感とともに脳と体に刻み込まれるものだからだ。

著者と同じ次元から考えてみる。

じゃあ、どうすればいいか。「情報」から「経験」への変換が必要になる。ほとんどの人がやっているかもしれないけれど、まずはその情報から得たノウハウを自ら実践し、自分に合ったノウハウに形を変えていく。そうすると、そこではじめて著者の行動原理に【触れる】ことになる。そして、自分の行動原理とは異なることを手触りで知る。ただ「やってみる」だけではいけない。著者の教えてくれたノウハウを実践しながら掘り下げ、その行動原理を掴み、自らの行動原理と照らし合わせ、そこから自分だけのノウハウを再構築する。カンタンに言ってしまえば「ノウハウが最も貢献するのは、それを生み出した本人」ということ。本やブログ記事はひとつのヒントであり、それ以上でも以下でもない。
自分を激変させる自己啓発・ノウハウとの出会いなんて幻想を抱くのはもうやめとこ。