並列多読は、本と本をリンクさせる。

まずは、名著との出会い。

もともと本はあまり読まない方だった。
コピーライターになりたての頃は「普段の仕事でも書いたり読んだりしているのに、これ以上活字に囲まれたくない」なんて思っていた。
ときどき売れ筋の本に目を通す程度。
そんな僕の読書量が急激に変わったのは、お世話になっている人から「この本だけは読んでおけ!」とオススメ本リストを渡されてからだ。


なかなか食指が動かなかったけれど、仕事が落ち着いたところでリストのうちの2冊を買ってみた。
個人的に興味の湧いた本も含めて3冊。
結論から言うと、あっという間に読み切ってしまった。
すすめられた本が想像以上に面白かったからだ。
新しい発見と共感に満ちていて、こんなに心から楽しいと思える読書ははじめてだった。
その勢いのまま、リストの中から新たに選び出して購入。
さらには他の人にすすめられた自己啓発本岡本太郎の本など、広告関係以外の本も読むようにした。

本と本がリンクして、本当の金言が浮かび上がる。

続けざまに読んでいく中で、それぞれの本の内容がときどきリンクしていることに気づいた。
ジャンルが異なっていても「あれ?あの本に書いてたのと同じようなこと言ってるな」ということが多かった。
たとえば、著名な米国の広告マンが大切だと言っていることを、日本のトップクリエイターも大切だと言っている。
岡本太郎の強烈なメッセージが、自己啓発本ではソフトに言い換えられている。


要するに一流の人たちが共通して「これは大切だ」と言っていることが、わかる。
そのことに気づいてからは、読書のスピードが上がった。
それまでは一言一句漏らすまいといった意気込みで本を読んでいた。
どれが本当の金言かわからないから、そうせざるを得なかった。
そして疲れていた。
でも、流し読みでも読書量が増えれば、そんな心配をしなくてもいい。
本当の金言だったなら、また別の本でもきっと出会える。
そのときに、深く刻みつければいい。

並列読書は、読書スピードを上げる。

dankogai氏は恐ろしいほどの速読で次々と読了していくらしい。
熟読はできないだろうけれど、エッセンスだけを汲み取るには充分なのだろう。
現在、僕は残念ながら速読ができない。
だけど、複数の本を同時に読み進めるということはやっている。
電車で読む本、会社で読む本、居間で読む本、寝床で読む本というように分けている。
「トイレで読む本」も追加したいところ(置き場がない)。


同時に複数の本を読み進めると、本同士のリンクした部分を見つけやすくなるし、何より自分の傾向もわかる。
どんな本が読みやすくて、どんな本が読みにくいのか。
なかなか読み進められない本は、割り切って本棚にしまっておく。
自分に向いていないのかもしれないし、数年後成長してから読み返すと名著と思えるかもしれない。
そして新たに本を買う。
自分の傾向がある程度わかれば、読みやすい本を選ぶようになり、読書スピードは自然と上がっていく。
件の「本は10冊同時に読め!」は未読だし、10冊同時になんて僕はムリだけど、並列読書には相応の価値があると思う。経験上。